+00:03難民支援協会の生田しおりと申します。
+00:13本日はこのような機会をいただき誠にありがとうございます。
+00:17私たちは日本で暮らす難民申請中の方を支援しているNPO法人です。
+00:231999年の団体設立以来日本に逃れた難民の方たちを支援してきました。
+00:30今日は日々の難民支援の経験から今回の入管法改正案のうち手数料の引上げについて慎重な議論を求める立場から意見を述べたいと思います。
+00:40まず強調したいのは今回の手数料引上げの直接の当事者はこの議場の中に少なくとも法案を採決する立場のある方の中に一人もいないということです。
+00:51出入国や在留管理に関する議論はこうした当事者不在の中で行われる構図にあります。
+00:58だからこそお願いしたいのは当事者の立場に立って想像力を働かせることです。
+01:03新たに定められる法律や行われようとしている法改正の内容が当事者にどのような影響を与えるのかその当事者が基盤を置く日本社会にどのような影響を与えるのか私がお伝えできるのは難民申請中の方という日本で暮らす外国人の中でも本当に限られたグループの方たちに関することです。
+01:24しかし、日本社会はそもそもすでに多様です。
+01:27皆さんの身近にいる外国にルーツを持つ方の状況を想像しながら私の話を聞いていただければ幸いです。
+01:34まずは私たちの団体の活動と日本における難民保護の状況についてお話ししたいと思います。
+01:42資料が前後して恐縮ですが資料の3ページ以降に私たちの団体の報告書を載せております。
+01:48右上に投資番号がありましてそちらの6ページをご覧いただければと思います。
+01:54私たちの団体では昨年度85カ国出身の1000人以上の方に支援を提供いたしました。
+02:01相談者の出身国のうち半数以上アフリカ地域の出身の方が占めています。
+02:07よく難民の方はどうして日本に来るのでしょうかという疑問をいただくことがあります。
+02:12難民の方が来日する理由は様々ですが日本をあえて選ぶというよりは逃げる先をすぐに探さなければならないそういった状況の中で最初に日本のビザが取得できたという方が多くいらっしゃいます。
+02:24世界を見渡すと難民として他国に逃れている方は3100万人を超えます。
+02:30一方で日本で難民申請をする方は年間1万人ほどです。
+02:34実は難民の67%は周辺国で暮らしておりいわゆる先進国まで逃れてくる方というのはごくわずかです。
+02:42その中のほんの一部の方がたまたま結果として日本にいらっしゃっているというイメージを持っていただければと思います。
+02:49さらに、難民は飛行機に乗れるのでしょうかという疑問もよくいただきます。
+02:53確かに難民と聞いたときに多くの方が難民キャンプを思い浮かべるかもしれませんしかし逃れる手段や経済力の有無は難民かどうかとは関係がありません渡航費に困らない人もいればなんとか資金をかき集めてやっとの思いでやってきたという方もいらっしゃいます。
+03:10難民とは経済的に困窮している人ではなく定義上迫害の恐れがある方たちです。
+03:17資料の中では私たちの団体で提供している支援のうち法的支援生活支援就労支援の件数を示しています。
+03:25法的支援とは難民認定手続に関する支援です。
+03:30私たちの団体にいらっしゃった時点で日本に来てから数日しか経っておらず難民申請をこれから行うという方もいらっしゃいます。
+03:37難民申請自体は地方の入管局で行いますが私たちの方で手続について情報提供を行い申請書の作成をサポートするなどしています。
+03:47難民申請後は証拠の提出に関するアドバイスや入管庁の難民調査官とのインタビューに向けたアドバイスまた弁護士の紹介などを行っています。
+03:56食料や住居、医療に関する生活支援も行っています。
+04:01難民審査には平均約3年を要し5年以上待たされるということも決して珍しくありませんしかし難民申請中の方がアクセスできる公的支援は非常に限られており私たちのような民間の団体の支援で何とか暮らしているという方もいらっしゃいます。
+04:16難民の方の中には出身国で受けた経験などから心身に大きな傷を負っている方もいます。
+04:23しかし、一方で私たちの想像を絶するような経験を乗り越えて日本にまで逃れてくるそんなバイタリティをお持ちの方もいらっしゃいます。
+04:32多くの方が支援に頼らず自立して暮らしていきたいと考えている中で私たちの団体でも難民申請中で就労許可がある方には就労支援も行っています。
+04:42こうした私たちの支援の大半は一般の方や企業などからの寄付金で支えられています。
+04:49資料の投資番号8ページに進みます。
+04:52日本での難民認定の少なさから日本に真の難民はいない日本での難民申請は乱用や誤用が多いのではと思われる方もいらっしゃるかもしれませんしかし日本の難民認定制度は非常に厳しく難民として認定されるべき人が認定されない状況にあるその結果として難民認定の数が少なくなっているというのが私たちの認識です。
+05:14私たちが把握する中でも紛争や暴力が蔓延する地域の出身の方や軍によって拘束や暴行を受けた経験を持つ方監禁され性暴力を受けた経験を持つ方など明らかに難民に該当すると思われる方が難民不認定の結果を受け取っています。
+05:31本来慎重に行われるべき難民不認定の判断が拙速に行われているとの懸念が拭えません逃れた先で難民として認定されることは迫害の待つ出身国に送り返されるかもしれないという恐怖からの解放を意味します。
+05:47しかしこの国に逃れた多くの方が難民認定の結果を得て人としての権利を回復したり新たな日常を立ち上げたりすることができていないというのが実情です。
+05:57ここまで私たちが日々お会いしている難民申請中の方の状況をお伝えいたしました。
+06:03では難民申請中の方に今回の法改正の案がどのような影響を与えるのか懸念点を3つに分けてお話しいたします。
+06:11まず難民申請者は在留資格手数料引上げの影響を特に受けやすいグループであるということです。
+06:18資料の表紙1枚目に戻っていただければと思います。
+06:22難民申請者の大半は在留資格を有した状態で難民申請を行います。
+06:28難民申請と同時に在留資格の変更申請を行い特定活動と呼ばれる在留資格を変更します。
+06:35出身国での迫害や人権侵害から逃れてきた方たちです。
+06:39在留資格の安定は命の保障安全への権利のために絶対的に必要なもの何とか手数料を年出してこういった形で在留資格を変更します。
+06:48さて難民申請直後に得られる在留資格は通常2ヶ月と非常に短いものです。
+06:54ここからは難民申請者の多数約6割を占めるD案件D案件と呼ばれるカテゴリーについて説明いたします。
+07:02D案件に触れ分けられた場合は図に示しているとおり2ヶ月の在留資格を更新し3ヶ月の特定活動が付与されます。
+07:10その後に付与されるのも3ヶ月の特定活動これを更新して難民申請から8ヶ月後に初めて6ヶ月の在留資格が付与されます。
+07:20この時にやっと就労許可も得ることができます。
+07:23すなわち難民申請から最初の8ヶ月間でしかも就労が認められていない状況で在留資格の変更や更新を4回行うこととなります。
+07:33現行の金額6,000円であれば単身世帯の場合は計2万4,000円4人家族でもし申請を行えばその額は9万6,000円にも達します。
+07:42その後も6ヶ月ごとに手数料を支払い在留資格を更新します。
+07:47いつ難民認定といった安定した在留資格を得て半年ごとの更新から抜け出せるのかそれは入管庁の難民審査の状況次第です。
+07:56本人たちもいつまでこの手数料の支払いが続くかは分かりませんある家族の状況に当てはめて考えてみたいと思います。
+08:05また、資料が前後してしまい恐縮ですが資料の4ページ目にある難民の方のストーリーを載せています。
+08:11エチオピア出身の難民認定を受けた家族のストーリーです。
+08:15政治的な弾圧から逃れて日本で難民申請を行いました。
+08:204人家族でした。
+08:21難民申請を行うと同時に在留資格の変更のためにここで4人分の手数料を支払うこととなります。
+08:28この方たちの在留審査にかかった期間は6年間この間はどんなに長くても半年ごとに在留資格の更新を行います。
+08:37手数料が6000円だとしたら6000円×12回家族4人で28万8000円これだけの手数料を支払った末の難民認定ということになります。
+08:47この方たちの事例は決して例外的なものではありません私たちが把握するだけでも難民申請をしてから5年以上待ってやっと認定されたという方は毎年のようにいらっしゃいます。
+08:59重要なのは難民申請者に付与される在留資格の期間はその活動に要する期間つまり難民申請の結果が出るまでではなく案件振り分けといった政策的な判断で細切れに定められるものであるという点です。
+09:13迫害を恐れて逃れてきた日本でオーバーステイになるわけにはいきません命には変えられないものとして支払いを続けていくこととなります。
+09:23では難民申請中の方たちはこの手数料をどのように年出しているのでしょうか。
+09:29また、表紙の資料に戻っていただければと思います。
+09:32先ほど述べたとおり難民申請者は原則として申請から8ヶ月間は就労することが認められませんこの間に多くの方が所持期限厚き衣食住もままならない状態に置かれてしまいます。
+09:45私たちの団体にも日々住む場所がない昨日から何も食べていないお金がなくて病院に行けず持病が悪化しているといった相談が寄せられています。
+09:54私たちが把握するだけでも30人以上の難民申請者が野宿状態にある月もありました。
+09:59そのような状況で所持金がないにもかかわらず手数料を支払わないとあなたの財源は認められませんと言われる状況を想像していただきたいのです。
+10:08手数料の支払いができないどうしたらよいでしょうかといった相談は実際私たちのところに毎月寄せられています。
+10:14私たちの団体だけでも月平均約20人の方に対して計数万円から多い月で20万円以上の手数料を支援しています。
+10:22知人やコミュニティに頼って何とか支払っているという方もいます。
+10:27そして3点目のポイントです。
+10:30非正規滞在となる難民申請者が増える恐れについてです。
+10:33難民の地位の認定は宣言的性格を有するものです。
+10:37難民は難民認定によって難民となるのではなくて難民であるから認定されるというのが国際社会の了解です。
+10:44難民申請者に対する法的地位の付与はそれを具現化するものであり国際法の理念に沿った重要な取り組みです。
+10:52その安定が私力の有無によって損なわれるようなことがあってはなりません仮に在留資格の変更や更新の手数料が値上げされた場合手数料が支払えず本人の意思に反して非正規滞在となってしまう方が増えることが懸念されます。
+11:07非正規滞在となることで本人たちの生活が困難になることは言うまでもありませんさらにこれは非正規滞在者を増やさないようにとを目指している政府も望まない状況ではないかと考えます。
+11:18資料の2ページ目をご覧いただければと思いますお願い事項を2点にまとめておりますまず1つ目として経済的に困窮する難民申請者が現行の6000円を超える額の手数料の支払いを課されることがないようにご配慮いただければ幸いですここまでお話ししてきたとおり現行の6000円ですら支払いが困難な方がいる中でさらなる値上げが当事者に与える影響は計り知れません仮に引き上げを行う場合であっても例えば6ヶ月以下は制約期とし1年以上は1万円とするなど在留職の更新頻度が高い人に配慮した制度設計をお願いしたいと思います。
+11:55法案には上限額のみが書かれておりその幅であればいつでも法改正の必要なく引き上げが可能という点も私たちの不安の要因です。
+12:03また、経済的に困窮する難民申請者を減額や免除措置の対象とすることもお願いしたいと思います。
+12:10法案には経済的困難その他特別の理由による減免措置に関する記述があります。
+12:16それをどのように判断するのかが今後の問題になってくると思います。
+12:20例えば難民申請中で就労許可がない間は減免措置を必要とする状況にあるといえます。
+12:28また、人数は少ないですが難民申請者向けの公的支援である。
+12:32保護費を受給している場合も生活に困窮することがすでに明確な場合として挙げられます。
+12:37また、収入が最低生活費を満たさない場合など必要な配慮をお願いできればと思います。
+12:43お願い事項の2つ目として難民認定等により在留資格を変更また更新する場合や緊急避難措置により在留資格を変更また更新する場合はその他特別の理由に当たる場合として減免措置の対象となるようご配慮いただければ幸いです。
+12:59難民申請の結果難民認定や補完的保護を得るとそれまで持っていた特定活動の在留資格を定住者と呼ばれる在留資格に変更します。
+13:09この定住者の期間5年間ですのでこの際の手数料の大幅な引上げが懸念されます。
+13:15難民認定をしたのに在留資格は付与されないという状況を生み出さないように必要な配慮をお願いしたいと思います。
+13:21また、難民申請の結果人道配慮による在留許可が認められる場合にも人道的な観点から同様の対応が求められます。
+13:29さらに、ミャンマーやアフガニスタンスーダンやウクライナなど正常な不安定な国の出身者に対して政府は緊急避難措置という制度をとっています。
+13:39難民申請の有無にかかわらず特定活動の1年を付与する仕組みです。
+13:43このような場合についても人道的な検知から手数料の減免といった対応が求められます。
+13:49以上、難民申請中の方を支援する立場から今回の入管法改定案に関する意見を述べてきました。
+13:562025年6月時点で難民申請者用の特定活動を持っている方は1万人を少し超える程度です。
+14:03在留外国人全体に占める割合は0.3%と決して多くはありませんしかし手数料引上げの影響を確実に受けるグループであり人道的な検知からも配慮を必要としています。
+14:15当事者の立場に立った丁寧な審議を改めてお願いし私の陳述を終わります。
+14:21ありがとうございました。